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「ムシウタ」岩井恭平



◆第一巻を最初に読み始めたときは、ちょっとダメかなと思った。
まずヒロインの設定が今ひとつ。
悲劇的な運命を背負っている少女を描く場合には、無口で孤高な存在……、ある種のカリスマ性が必要なのだが、このヒロインは、普通の引っ込み思案な女の子だ。
しかし、実際に展開を見てみると、これはこういう作品なのだな、と思った。

ストーリーに関しても、序盤は場面展開がわかりづらく、描き方が稚拙に思えたのだが、中盤以降の意外性のある展開を読んで、意図的にわかりづらく描いていたのかとこれは納得。
必ずしも絶賛できる意外性ではないのだが、後半は普通に面白く読めた。

虫に関する話ということで、作者がもし虫に詳しくて、虫がカサカサ動く様子がまざまざと伝わってくるような描写満載だったらイヤだなと思っていたのだが、あとがきによれば作者はこの世で一番嫌いなものが虫だそうである。
だから虫の描写がグロいなんてことはなく、ある意味ジョジョのスタンドみたいなものである。

「虫憑き」の設定が上手いのは、あり得ないことを描いているため、空想だけで書けることだ。
たとえばこれが「ウイルスを操る能力」とかなら、現実のウイルスはそんなふうには機能しませんよ、みたいなツッコミが入るかもしれない。「虫」にしたのはそういう意味でも絶妙である。ウイルスを操るという設定なら、なんかいろいろ調べて書かないといけない気がするけど、「虫憑き」なら好き勝手でいいのである。

ライトノベルの場合、「資料を調べなくてもいいような作品」というのは重要だと思うのである。作者の博覧強記に基づいた作品というのもあり得るが、資料無しで空想だけというのがラノベらしいのである。
先に述べたように、これがウイルスの話だったらいろいろ制約があるわけである。まあ制約があるがゆえに、面白く書けるという場合もあるのだろうが、ともかく「ムシウタ」はラノベらしくてよい。
ギャルゲーで奇病に罹ったヒロインがいたとして、その病気を医学的に説明しなくていいのと同じである。現実にあり得ないことだから制約無しに書けるというのかな。

◆第二巻を読んでみたのだが、ちょっと平凡でベタな内容だろうか。
第一巻に較べると出来はよくない、と思う。

◆第三巻から作者の筆力が上がっているような気がする。
内容的には能力バトル的な路線が強まったかな。

自分としては「最終兵器彼女」とか「イリヤの空」みたいな作品が好きなのだが、この作品はまったくそういう悲劇的な方向ではないようだ。
設定だけ見ると、詩歌というヒロインの女の子が悲劇性を背負っていて……というタイプの作品っぽいんだけど、ストーリーは軽く泣かせるドラマという具合だ。詩歌にしても、引っ込み思案で健気な女の子が生きていくという方向性だ。

たぶんこのストーリーの場合、ヒロインは不幸にならない。設定は悲劇だけど、展開は悲劇ではない。
無論これは好みの問題である。「最終兵器彼女」には反吐が出るという人もたくさんいるのだ。

「ムシウタ」のヒロインのキャラの立て方は、オーソドックスなように見えて意外と少ないような気がする。奇を衒ったキャラ立て……、特に生意気で変な女の子がヒロインであったりすることが多いので、詩歌みたいな普通におとなしくて優しい感じのヒロインというのは、なぜかあまりいないような気がする。


◆第四巻
この作品はいわゆるワンパターン小説ではなく、各巻ごとにアプローチが違うようである。
それがいいのか悪いのかはわからない。

作品テイストとしては、普通のハートウォーミングな感じだろうか。
自分としては、読んでいて鬱になるような小説が好きなので、このあたりで挫折かも。

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