【 レビュー 】 「されど罪人は竜と踊る」浅井ラボ |
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(このレビューは書きかけです)。 第五巻まで読みました。 なお第三巻は短編集でとてもつまらない。作者もあとがきで時間が足りなかったとエクスキューズ。 雑誌のスニーカーに連載した短編を本編に組み入れるのは止めて欲しいものです。 この作品の好き嫌いは第一巻の最初で決まるでしょう。この作品は、最初から最後まで同じテイストというタイプの作品です。最初の方でアレルギー反応憶えたら、続きを読むべきではありません。ずっとこの調子だから。 ストーリーはあんまり面白くないんだけど、過剰なボキャブラリーは楽しめた。この文体には賛否両論あるかもしれない。こうやって言葉を余分に駆使して描写を行うようなのは、やろうと思えば、(プロの人なら)出来たりするのかもしれない。浅井ラボが凄い名文家かどうかは知らない。 ともかく自分は文章だけで楽しめた。 ストーリーに関しては、悲惨な話を並べているという感じ。 ことさらに陰惨なエピソードを並べ立てているという風なので、あまり身に迫るものはありませんでした。 雑に言えば、ホラー映画を見ても、それはあくまで映画だということ。 |
【 レビュー 】 「ゼロの使い魔」小説版の感想 |
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これはネタバレもあるので、すでに作品を読んだ人を対象にしたエントリーです。 ◆第一巻 「ゼロの使い魔」に愛着を持てるかどうかは、序盤のルイズの生意気さをどれだけ面白いと思えるかに掛かっている。ルイズは「性格が悪い」という設定であるわけだが、それを面白いと思えるかどうか。 面白いと思えた人なら、第2巻以降も続けて読むべきである。 逆に、この序盤でルイズの「性格の悪さ」を面白いと思えなかったなら、続きを読んでも感情移入するのはちょっと難しいかもしれない。 この作者は絶妙な匙加減でルイズの「性格の悪さ」を面白く描いていて、それがゆえにヒットしているわけだが、このキャラ設定を楽しめないと、どこまで読んでもちょっと辛いだろう。 学園風景もよい。 「ゼロの使い魔」では、他人をからかったりする場面が多いのだが、それが陰湿ないじめのように感じることはほとんどない。このあたりの温度が作品のテイストをいい具合にしている。 陰湿ないじめがあって、対立して、特殊な能力に目覚めて……ということでもいいんだけど、それだと、全然別の味付けの作品になるだろう。 「ゼロの使い魔」は作品の暖かさみたいなのが一貫していてよい。 ◆第二巻 「風のアルビオン」。 アンリエッタ王女から手の甲へのキスを許された主人公が勘違いして、唇にブチューとやってしまう場面が素晴らしすぎる。 この作品は主人公がアホすぎるので面白いのです。 (アホでありながらも、ふざけているわけではなく、真面目なアホなのがよいのです)。 主人公は王女の勅命で浮遊大陸アルビオンへ行くことになるのだが、ストーリーのメインは、ルイズと、ルイズが幼い頃憧れていたワルド子爵が結婚するのではないか、というところ。 これを読んだ人は、結婚の話が出てきた段階で100人中100人が、結婚しないラストを予想したはずである。 (物語を自爆的に終わらせたいのでなければ、ルイズとワルド子爵が結婚することはあり得ない)。 そして、その通り結婚しないラストになるのだが、それでもハラハラしながら読めたりするのがいい。 主人公とルイズの「すれ違い」なども、いかにも古典的なラブコメなのだが、それはそれとしていい。 やっぱりこの作者はストーリーテリングが巧いと思う。 使い古された手法ではあるのだが、それだけ物語の面白さの基本に忠実なのだから。 ◆第三巻 「始祖の祈祷書」。 第二巻で死んだウェールズが虚無の魔法により生き返らせるというところから始まるが、この巻ではあまりウェールズ関連の話は展開しない。 序盤の多くは、主人公がシエスタとルイズに挟まれての三角関係。 後半はアルビオンがトリステインに謀略を仕掛け、交戦状態に。 主人公は零戦で出撃し、最後にルイズが虚無の魔法を発動させるという感じ。 「ゼロの使い魔」というタイトルからして、ルイズの属性が虚無だというのは最初から設定されていたと思うが、ようやくここに来て発動。 ◆第四巻 「誓約の水精霊」 いつも通り、主人公、ルイズ、シエスタでのラブコメ的な展開。 モンモランシーがギーシュに飲ませようとした惚れ薬をルイズが飲んでしまい、ルイズが主人公に夢中になる。 21世紀になって、惚れ薬というアイテムを平気で出してしまうのもすごい。 昔の漫画とかで惚れ薬を誰かが発明すると、たいていは別の相手に間違えて使ったり、目を離した隙に別の人間が飲んでしまったりするのだが、この「ゼロの使い魔」も当然ながらその王道を踏襲する。 (発明して、目論見通りに使えて、そのままくっつくという話はあまり見たことがないな)。 ともかく目論見通りにいかなくてドタバタするお約束で、話は進行する。 最後には解毒出来るのだが、いやはや、ここまでありきたりな展開を書けるのはすごいですよ。 ◆第五巻 「トリスタニアの休日」。 短編集的な構成になっている。短編なので、起伏のあるストーリーではない。率直に言えば、このシリーズの中で一番つまらないかも。 最初の第一話は、主人公とルイズが、アンリエッタ女王からの命令で民衆の中を探ることになる。お金を渡され、街に出たのだが、賭事で増やそうということになる。そして負ける。これは基本を守れていてよい。 主人公があぶく銭を手にするのは御法度である。 賭事とかで損をしてすっからかんになったりするのが王道である。 そして、この作品も王道を行き、すっからかんになり、居酒屋で働くということになるのだが……。 ここで描かれるドタバタが今ひとつ。 なんかですね、この作品ならいつも突いてくれるツボを突いてくれないと言いますか……。 単純に言えば、シエスタがいない状態で、主人公とルイズがドタバタしても、ダメかなあと。 やはりシエスタがいてこそ、「ゼロの使い魔」は成立するのです。 次の第二話はタバサとキュルケの話。 「ゼロの使い魔」のいいところは、生徒同士のトラブルみたいなのがあっても、そこに陰湿さがないということである。この第二話はちょっとエピソードの内容がやや陰湿で、この作品らしくない。 いや、陰湿と言っても特別にえげつない描写があるわけでもない。少年サンデーの中に少年マガジンの漫画みたいなのがあって違和感を憶えたという程度なのだが、あまり「ゼロの使い魔」らしくない。 第三話は、アンリエッタ女王の隠密行動に主人公が付き合うという話。これは普通かな。 ◆第六巻 「贖罪の炎赤石」。 初読の時は、いろいろ設定とかを忘れていたので、読んでいてわけわからないという部分が結構あった。 今回再読してみたら、すんなりと読めた。 作者のヤマグチノボルが「ゼロの使い魔」についてどのようなコメントをしているのかチェックはしていないのだが、第一巻の段階でかなり設定は練られているような印象を受ける。 漫画みたいに後付けで設定を増やしていくのではなく、最初からこの作品世界のハルケギニアのファンタジー設定は細かく決めているようだ。 (と書いておいて、実は行き当たりばったりだったりするのかもしれないけど)。 この第六巻は、五巻までの設定を頭に入れた上で読めばわりと面白い。 戦況の描写に結構枚数を割いていて、初読の時は印象が悪かったのだが、読み直すと、なかなかよく書けていると感心した。 ◆第七巻 この作品は女の子にも力を与えている設定だ。 だから女の子キャラが活躍する場面がもっとあってもよさそうである。 でも、決定的な場面では、女の子キャラはあんまり活躍しない。 普段は女の子キャラは強いし、ちいさな場面では力を発揮したり、威力を見せたりするけれど、クライマックスでは、たいてい男の子が活躍する。ほとんどの場合、それは主人公の才人であり、才人でなければ、第六巻のようにコルベールだったりする。 (コルベールは中年男性だが)。 女の子キャラの活躍でピンチを脱してもいいような場面でも、女の子にそれはさせない。この第七巻のラストにしてもしかりだ。 これがこの作品の少年漫画っぽさなのだろうと思う。 女の子が戦闘で勝つということでもラノベ的にはいいんだろうけど、「ゼロの使い魔」ではそれを避ける。 男の子が戦って勝つという基本的な感動パターンを守る。 どっちがいいというわけではないのだが、やはり戦いの勝ち負けは男にとって重要なものだ。 (女の子の場合、腕力の戦いで負けてもあまり屈辱ではないだろう)。 ◆第八巻 第7巻のラストでルイズを助けるために、自分が身代わりとなり大軍勢に向かっていった主人公は生きているのだが、ルイズにはその安否がわからず、毎日泣いているというのがたまらなくよい。もうこの設定の段階で、ルイズが主人公のことをポカポカ叩きながら泣いたりする再会の光景が先読み出来る。そしてこういう先読みはいいのです。展開が丸わかりでも、ルイズがプンプンしながら泣きじゃくって喜ぶ場面に到達するのが楽しみで、ページを捲ることが出来る。 第6巻で危うくぐだぐだした戦争物になりそうかなと懸念したけど、この作者は物語の面白さの基本的なパターンを心得ている。 この第8巻はこのシリーズの中で一番面白かった。 あと、この作品は男の子が女の子を守るという構図が少年漫画的に描かれていて、それもいい。 男主人公が少女を守るラノベはたくさんあるが、「ゼロの使い魔」は少年誌っぽい構図がいいのである。主人公は一応特別な力の持ち主だという設定だが、必ずしも強いヒーローとして登場するわけではない。ケンシロウや悟空ではないのですよ。普通の少年の立ち位置で、女の子を守るために勇気で立ち向かうという構図が、絶妙なバランスで描かれていて、いいな。週刊少年マガジンみたいなのではなく、もう少し低年齢層が接するような漫画やアニメのスタンスだと思うけど、ともかく面白い。 ◆第九巻 「ゼロの使い魔」の中では第八巻が一番面白いと言っていいと思うのだが、続く第九巻はダメである。 まず序盤がワンパターン。ワンパターンなのがこの作品の王道なので、それはいいのだが、ワンパターンすぎるのでダメである。つまりワンパターンなのは一向に構わないのだが、もう少し工夫が欲しかった。 そして、なによりまずいのが才人を出世させたことである。 彼が7万の兵を退却させたというのを大勢が知っているとしたこと。 これはまずい。才人が活躍したのをみんなが知るというのはまずいのである。リアルなら、成功して出世したら幸せだ。 でもフィクションでそういうハッピーライフを書いても面白くはない。 リアルで出世したら幸せだが、それはストーリーとして平凡なのである。フィクションの登場人物は迂闊に出世させたらダメなのである。 少なくとも「ゼロの使い魔」の構図を見た場合、才人の活躍はルイズ周辺しか知らないということの方がいいはずだ。 彼のガンダールヴとしての力は、一部の人しか知らないという構図がいいのである。 ◆第十巻 簡単に言えばタバサを救う話。 どうなんでしょう? タバサは、才人とルイズとの関わりが薄い。 タバサを主人公とした外伝も出ているところからして、作者のお気に入りなのかもしれないが、作品内では完全な脇役である。 今回の話に関して言えば、「タバサを救う」というのが、根本的に動機として弱い気がした。 またストーリー内容も平板であったと思う。 作者がタバサのキャラを立てようとしている意思は感じるのだが、タバサは主人公と親しくないし、ルイズとも親しくない。 そのあたり難しさがあるのではなかろうか。 ◆第十一巻 ゼロの使い魔は第八巻が非常に面白いと思うのだが、九巻以降は迷走している感がある。 この第十一巻では、行き詰まりを打開しようという意図を感じたが、これが十二巻以降でどうなるのか……。 この巻では物語を再起動しようという試みが行われたので、次に繋がればいいけど。 ◆第十二巻 第十一巻を読んだ段階で、十二巻で何か新展開があるかと思ったのだが、それはなし。 単なるコメディー。 内容は、まあまあ面白いかも……という程度。 第九巻以降は、終わった作品という感じだが、今後どうなるか。 あまり期待は出来ない。 |
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