Headline


スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
このエントリーをはてなブックマークに追加

「本格推理委員会」日向まさみち



積ん読を崩す。
第1回ボイルドエッグス新人賞受賞作で2004年のデビュー。
この作者はこの一作で消えている、のかな。

この作品は、タイトルとは違って、ラノベで推理小説めいたことをやってみるという具合。あるいは、殺人事件の解決という定番ではないので、物足りないのかもしれない。推理が稚拙という部分もあるのだろうが、まず事件自体が面白くない。それがかなりのネックである。
事件自体が興味を惹くかどうかが、推理小説ではかなり重要だ。推理小説の場合、刺激的なエピソードを並べていけばいいのであり、興味を惹くことに成功しさえすれば、たとえば登場人物がフェイドアウトしたり、話が二転三転して変な方向に行っても許容される。極端に言えば、構成が破綻しても、面白ければいいのだ。「本格推理委員会」はそういうエピソードの刺激性に欠ける。

問題があると感じたのは文体だ。ラノベ風味の半端な推理小説を書きながら、はじけ切れてない。文体はきちんとしており、丁寧だ。これがまずい。すんなりと読める文章だけれど、ラノベな感じが足りない。ユーモラスに書こうとしているものも、どっちつかずだ。「ラノベの文体」ではないのだ。ラノベの文体はふざけているように見えて、ある種の洗練されたものである。簡素に平板に書けばいいというものではない。この作品の妙に律儀な書き方はラノベに合ってない。演技に喩えると、大根なのかもしれない。役者がセリフを棒読みしている感じ。律儀できちんとした文章であり、読みやすさという点ではかなり良いが、ラノベ的にノリが悪いのだ。

もちろん、ラノベだから「軽く」書くのが義務というわけではない。筆力が特別に高ければ、読者を酔わせるような重厚な文体もありだ。しかしこの作品の場合、名文でもない。単に凡庸に律儀に書いてるだけ。中途半端な律儀さが、はじけ切れてない。

作品内容に関して言えば、一人称で男性主人公が書きつつ、ほとんど主人公中心の物語であるのがマズイ。一応美少女キャラを並べているのだから、彼女たちに活躍させないと。美少女キャラたちの「見せ場」がとても少ないので、ほとんど印象に残らない。このあたりもラノベの基本を守れてないところ。

結論的には、中途半端な作品を読まされてしまったという印象。文章は丁寧で律儀なので、そういう意味でのストレスはなかったが、軸足の定まらない作品である。
批判だらけのエントリーになってしまったが、この作品はそれなりに面白い。そこそこ面白いだけに、あちこち物足りなさを感じる。
このエントリーをはてなブックマークに追加
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。
アクセスランキング